上海F1GP

2004年9月13日
NNAより転載。

F1の経済効果400億元、上海市民は冷静

中国で初めて開催されるフォーミュラ1(F1)グランプリが今月24日、3日間の日程で上海で開幕する。自動車製造大国を目指す中国にとってモータースポーツの祭典の開催は国際的な注目を集める絶好の機会。地元・上海でも、開催に伴う直接・間接収入は毎年400億元(約5,200億円)と見ており、その経済効果を期待する声も。ただ、上海市民からはあまりにも高すぎる入場料や市内の交通渋滞を懸念する声もあり、市民の巨大イベント開催に対する関心には温度差もあるようだ。

「F1開催は上海(を売り込む)最高の『名刺』だ」。上海市旅遊事業管理委員会の張仁良・副主任はこう言い切り、上海F1開催を歓迎する。同委員会によると、今年1年間に海外から同市を訪問する観光客は過去最多の延べ350万人に達する見込みで、このうち約1割の35万人がF1開催に伴うものと見ている。実際、F1開催期間中の市内のホテルの宿泊料は、通常の2〜3倍の設定にもかかわらずほぼ満室状態。市内だけでなく、江蘇、浙江両省のホテルを利用する人もあり、F1開催を昨年の新型肺炎SARSで大きな影響を受けた観光業の復興の起爆剤と見ているようだ。

<入場料だけで税収1,240万元>
上海F1が開催される上海国際塞車場(サーキット)の観客収容数は15万〜20万人。入場料収入だけで、2億2,800万元とされており、上海市の税収は1,240万元に上る。このほか、サーキット周辺の20平方キロメートルでは飲食店など各種サービス業の年間売上高は100億元以上、間接収入は325億元と推計されており、直接・間接収入を合わせると年間400億元以上の経済効果が期待されている。
また、サーキットのある嘉定区は上海大衆(VW)が生産拠点を置くなど自動車産業が集積している。F1開催を機に年間200万人が今後、同区を観光・視察目的で同区を訪問するとしている。さらに同区では3万2,300人の雇用も新たに創出できるとしており、雇用確保の面からもF1誘致には利点があるとの立場を明らかにしている。

<関連商品の売上高500万元、娯楽施設増設も>
9日付中国青年報によると、F1に関連するTシャツや記念品などの販売を手がける上海塞事商務有限公司の于益銘・高級経理はこれまでに関連商品の売上高が500万元に達したことを明らかにしている。同社では年内に北京など上海以外の都市で、F1関連商品を販売する専門店を出店する計画があるとしている。
また、上海国際サーキットを運営する上海国際塞車場有限公司の郁知非・副総経理は「グランプリ開催は年たった3日間。残り362日間もみんながサーキット場で楽しめる場所をつくる必要がある」と述べ、今後、観光客を呼び込むためにサーキット周辺に観光・娯楽施設を増設することを示唆。F1開催を単なる一つのイベントとして利用するのではなく、長期的ビジネスとして展開していくという。

<平均月収の2倍以上、不評な高額チケット>
巨大イベントに対して、地元・上海市民の反応は意外に冷静だ。とりわけ、高額なF1入場料には「庶民が行ける額ではない」と不評を買っている。今回の上海F1で販売されるチケットは3日間の通し券で最高額が3,700元。平均月収が1,500元ともいわれる中国では破格の値段となり、市民の間では自宅でのテレビ観戦を決め込む人が続出しているという。
高額入場料はチケット販売の不振も招いている。今年3月にチケットは販売されたが、発売3日間はその話題性から高額チケットが飛ぶように売れたものの、そのほとんどが接待目的の企業や海外からの観戦ツアー目的の旅行社からの購入だったことが判明。自費での購入者は少なく、8月に入ってから販売が開始された最低ランクの370元のチケットも販売不振が伝えられている。
また、F1開催期間中は市内で交通渋滞が予想されるだけでなく、会場となる嘉定区内では大規模な交通規制が行われるとの情報もあり、F1開催が市民生活に大きな影響を与える可能性も出ている。

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